のるすくのデザイナー北田たくみの仕事、日々の出来事など
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木のはなし Vol.3 「楓」
木のはなし Vol.3 ‘94年10月7日発行「楓」より
 
楓の葉


紅葉の季節ですね。
今回は山の錦とも詠われる「カエデ」のお話です。

 


 カエデとは、もみじのことである。カエデとモミジ、園芸上では二分される
ことがあるが、植物分類上では同じ意味として用いられる。
 俗にカエデに『楓』の字を当てるが、これはマンサク科のフウにあたるもの
で、正しい漢字は『槭』となる。 カエデと聞くと、多くの方は赤子の手のよう
に小さくて赤く紅葉するイロハカエデを思い浮かべると思われるが、工房で
使用しているのは板屋楓といって、葉も大きく黄色に紅葉する。


 このように同じカエデ科に属しても、楓の葉は違う色に紅葉するばかりでな
く、その形・大きさも種類によってまちまちで、葉から楓であることを見極める
のは難しい。 ならばどうやって楓であることを知ればいいのだろう?
 そんな素朴な疑問に、秋になるとくるくると回りながら落ちてくるプロペラの
ような翼がついた実が「私はカエデです」と答えてくれる。


楓の花
楓の実

 

 子供のころ、よくこの楓の実が落ちてくる様を見て、夢心地になったことを思
い出す。楓の種には翼がついて、それが風をうけて遠くへ飛ばされてゆく。木
の風と書いてカエデ。そもそもカエデの名の由来は、葉の形がカエルの手に似
ているからだそうだ。

 落葉樹は秋になって寒さが増すと活動がにぶくなり、水分の蒸発を防ぐため
に葉の付け根と幹の間に離層という特別な細胞層ができはじめる。そうなると
葉でできた養分(糖分)は枝の方へ移動できなくなり、葉の中は糖分で一杯に
なる。根から水分の来なくなった葉は、やがて枯れ、落ちてゆく・・・。
 紅葉とは、木を育てる為に春に生まれた葉が、秋になって木を守る為に散っ
てゆく現象。人の言葉に例えるなら、慈悲の心を思わせる。
 散り際に見せる赤・黄・褐色の鮮やかな色のパレードも、寒さによって壊れて
ゆく葉緑素と行き場所を失った糖分の無言の叫びのように感じるのは私だけだ
ろうか?
 こんな話をすると、ちょっとおセンチになってしまうが、実際、枯葉がその後微
生物を助け、また助けられて土へ還ってゆき、木の新たなエネルギーになって
ゆくさまを理解すると、必要から生まれる自然現象の尊さに、畏敬の念を覚える
のであった。
 これから秋が深まるにつれ、茶褐色に色づくクリやコナラ、赤く色づくイロハカエ
デやヤマザクラ、黄色に色づくイタヤカエデやイチョウなど、たくさんの落葉樹が
演じる舞踏会をそんな思いで見上げてみるのも時として大切なことかも知れない。

楓の幹
楓の木目


学名:Acer mono(板屋楓)
北海道・本州・四国・九州に分布するカエデ科の落葉高木。
葉がよく茂り、板で葺いた屋根のように雨が漏らないということから、この名がある。
谷間や斜面の向陽地を好み、大きいものは高さ25メートルにも達する。
家具・建築用材・庭木のほかに、楽器やスキー板、バットなどにも。

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